革製品は、本革であれば動物の皮からできています。
でも動物の皮がどのような工程を経て、売られている革製品になるか知っていますか?
革ができるまでの流れの中には、革用語として有名な「鞣し(なめし)」のように皮を柔らかくする工程もあります。
でもその他にも、沢山の作業が行われているんですよ。
一体どんなことをしているのか、気になってきたでしょう?
それでは革の世界を今よりもっと楽しむために、革ができるまでの知識をインプットしちゃいましょう!
- 革ができるまでは24個もの工程がある
- 【①原皮の輸入】倉庫へ運ばれる
- 【②水漬け・背割り】作業しやすくする
- 【③石灰漬け】毛を抜く
- 【④裏打ち】裏面をきれいに
- 【⑤再石灰漬けなど】更にきれいに
- 【⑥鞣し】革へと変わる
- 【⑦水絞り】余分な水を絞る
- 【⑧選別】ランク分け
- 【⑨シェービング】厚さを整える
- 【⑩再鞣し】革の調整
- 【⑪染色・加脂】色付け&柔らかく
- 【⑫セッティング】革を伸ばす
- 【⑬乾燥】乾かして染料を定着
- 【⑭味取り】水分を補給
- 【⑮バイブレーション】もみほぐす
- 【⑯ネット張り】乾燥で形を整える
- 【⑰銀むき】表面を削る
- 【⑱塗装】美しい色ツヤに
- 【⑲艶出し】よりツヤツヤの表面に
- 【⑳アイロン・型押し】模様つけ
- 【㉑計量】革の面積を計る
- 【㉒検査】品質を確認
- 【㉓出荷】製品化する工房などに輸送
- ㉔革製品となり、私たちの元へ
- まとめ
革ができるまでは24個もの工程がある
皮だったものがどのようにして革になっていくのか、その代表的な工程をご紹介します。
場合によっては工程の順番が前後する項目もありますが、おおよその流れは以下のようになっているんですよ。
それでは早速、順を追って解説していきます!
【①原皮の輸入】倉庫へ運ばれる
牛や馬などの動物の皮は、オーストラリアや東南アジアなどの海外から輸入されてきます。
豚などの一部の皮は、国内から届くものもありますよ。
倉庫に届く段階の皮のことを「原皮(げんぴ)」と呼びます。
この時の皮は、腐らないように乾燥か塩漬けの処理がされた状態です。
【②水漬け・背割り】作業しやすくする
まず「水漬け(みずづけ)」という作業を行います。
これは水を使って皮から汚れや血液を洗い流して、綺麗にする作業です。
また水分が減っている皮に潤いを補うことで、本来のしっとりした皮に戻していきます。
その後「背割り(せわり)」という、皮を切り分ける作業をします。
馬や牛の皮は面積が大きいので、作業しやすいように背筋から半分に切り分けるんですよ。
【③石灰漬け】毛を抜く
次に「石灰漬け(せっかいづけ)」という工程を行い、余分な毛を抜いていきます。
具体的な方法は、石灰に皮を漬けることで皮を膨らませて、毛を根本から抜くというもの。
私のムダ毛も、お風呂に浸かるだけで抜けたら良いのに~。
その他に脂肪なども分解され、皮の柔軟性が良くなります。
【④裏打ち】裏面をきれいに
次は「裏打ち(うらうち)」と呼ばれる、皮の裏面の処理を行います。
皮の肉があった側(裏面)に残っている脂肪や肉片を、フレッシングマシン(裏打機)できれいに取っていきます。
【⑤再石灰漬けなど】更にきれいに
徐々にきれいになってきた皮を、更に念入りに整えていきますよ。
まずは③で漬けた石灰にもう一度漬けて、繊維をほぐしていく「再石灰漬け(さいせっかいづけ)」を行います。
次に行うのは「脱灰(だっかい)」や「酵解(こうかい)」と呼ばれる工程。
これは今までの工程で残っている石灰を除去したり、たんぱく質の分解をして表面をなめらかにする効果があります。
【⑥鞣し】革へと変わる
皮から革になるまでの工程で有名な「鞣し(なめし)」がココで行われるのね!
鞣しとは、柔らかくして製品として使いやすくするために行うものです。
具体的には、皮に鞣し剤(なめしざい)を染み込ませていきます。
鞣し剤には、植物のタンニンやクロムといった薬品が使われます。
この工程で、耐久性や耐熱性もアップしますよ。
【⑦水絞り】余分な水を絞る
機械を使って革の不要な水分を絞っていく「水絞り(みずしぼり)」をします。
更に、絞りながら革を伸ばしていきます。
【⑧選別】ランク分け
革の表面の傷などを確認して、等級ごとに分けていきます。
ここで高級革製品になるのか、カジュアルな製品になるのか決まるのね。
【⑨シェービング】厚さを整える
いよいよ完成の革に向けて、整える工程に入っていきますよ。
「シェービング」と言って、カバンや靴など、用途に応じて革の厚さを調整する工程を行います。
厚さの調整には、革の肉があった面を削っていきます。
【⑩再鞣し】革の調整
最初の「鞣し」から、もっと完成品の革の状態へ近付ける作業を「再鞣し(さいなめし)」と言います。
ここでは製品によって革に更に耐久性を持たせたり、柔らかさを与えるなどの調整をしていきます。
【⑪染色・加脂】色付け&柔らかく
お次は色を付けていきますよ~!
染料を使って革に色を付けていく作業を「染色(せんしょく)」と呼びます。
色を付けるというと茶色い革を赤や黄色にするのを想像しますが、黒や茶色の革もほぼ全てがこの「染色」をしたものです。
また、革をより柔軟に、もっちりしたものにするために「加脂(かし)」という工程も行います。
油脂を使って革を整えていきますよ。
【⑫セッティング】革を伸ばす
次はセッティングマシンという機械を使い、水分を取りながら革を伸ばしていきます。
「セッティング」または「伸ばし」と言われます。
【⑬乾燥】乾かして染料を定着
革が伸ばされてピンとなったら、次は革につけた染料や油脂を定着させるために「乾燥」させます。
乾燥の方法としては主に自然乾燥・真空乾燥・熱風乾燥の3通りがあります。
【⑭味取り】水分を補給
せっかく乾かしたのに、また濡らすの?
革をきれいにほぐすためには、必要な水分なんだよ。
革をもみほぐすために、革に水分を与えていきます。
このことを「味取り(あじとり)」と言います。
【⑮バイブレーション】もみほぐす
水分を与えた革を機械を使ってもんで、ほぐしていきます。
この作業は「バイブレーション」や「ステーキング」と呼ばれ、革に弾力性が増し、柔軟な革になっていきます。
【⑯ネット張り】乾燥で形を整える
網上の板の上に革を広げ、四方を金具で固定して軽く引っ張った状態で平らに整えます。
これを「ネット張り(ねっとばり)」や「トグル張り(とぐるばり)」と言い、このまま乾燥させていきます。
【⑰銀むき】表面を削る
必要であれば、表面を軽く削っていきます。
スエードなどの起毛の革は、この工程を行いますよ。
バフィングマシンという機械を使ってサンドペーパーをかけていくこの作業を「銀むき(ぎんむき)」と呼びます。
【⑱塗装】美しい色ツヤに
いよいよ最終的な仕上げの段階に入ってきます。
「塗装(とそう)」と呼ばれるこの工程では、塗料を使って目的の色に仕上げると共に、ツヤ感も出していきます。
また、耐久性を高めるためにも塗料を塗ります。
【⑲艶出し】よりツヤツヤの表面に
次は機械を使って表面のツヤを更に引き出していく「艶出し(つやだし)」を行います。
塗料を塗った時に出るツヤ感だけで終わらせずに、もっと極めていくのね!
機械はポリッシングマシンやグレージングマシンという物を使います。
【⑳アイロン・型押し】模様つけ
いよいよ最終仕上げに入ります。
革をきれいに伸ばすためにアイロンをかけます。
必要に応じて「型押し(かたおし)」という作業で革に型を押して、模様をつけたら完成!
【㉑計量】革の面積を計る
次は出荷に向けての工程に入ります。
まずは「計量」で、計量機という機械を使って革の面積を計っていきます。
【㉒検査】品質を確認
次に品質をチェックします。
チェックするのは色合いや柔らかさ、革の強さなど。
定められた基準があって、それを満たした革のみが合格となります。
【㉓出荷】製品化する工房などに輸送
検査後、平面の革から革製品へと作り上げる工房などに向け、出荷されていきます。
革が汚れることのないよう、丁寧に梱包してありますよ。
㉔革製品となり、私たちの元へ
工房などに届けられた革は必要なパーツの形に丁寧にカットされて使われていきます。
そして縫い付けて仕上げられ、様々な革製品となります。
このような工程を経て、私たちの手に届くんですよ♪
“革ができるまで”のお勉強、お疲れ様でした~!
まとめ
動物から取れた皮がどのようにして革になり、私たちの手元に届く革製品になるのかをご紹介しました。
革ができるまでには、丁寧に洗われるところから始まり、薬品を使ったり、伸ばしたり、乾燥させたり、ほぐしたり・・・。
本当に多くの工程を経て、やっと革が完成するんです。
手元にある革は多くの人が関わって作り上げてくれたものなんだとわかったら、より一層愛着が湧きますね。
あなたの持っている革製品も大切にお手入れをして、いつまでも長く使ってあげて下さい♪