革のなめしって何?3つの方法と仕上がりの違いや特徴を解説

コラム
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動物の皮から革製品に使われる「革」となる工程はこのように↓なっていますが

その中で、有名なのが『なめし(鞣し)』です。

なめしとは皮を柔らかくして製品として加工しやすくするだけでなく、耐久性などの面もアップさせるための工程です。

実はなめしの種類によっては、革が経年変化(エイジング)しにくかったり、お手入れの頻度が少なくて済むような違いもあるんですよ。

だから革の変化を楽しみたいのに、変化しにくいなめし方法で作られた革製品を購入してしまうと残念なことに。

そんなことにならないよう、理想の革製品を見つけるためにもなめしについて知っておきましょうね。

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革のなめしとは柔らかくして整えること

なめす、を漢字で書くと「鞣す」となります。

その漢字の通り、なめすというのは革を柔らかくすることなんです。

また動物の皮は、そのままだと乾燥してカチカチになったり、腐ったりしまうことも。

それを防ぐために薬品を付け、皮の調子を整えつつ柔らかく使いやすい状態にすることがなめしの目的なんですよ。

「皮」と「革」の表記の違いについて
なめし前⇒皮
なめし後⇒革
というように区別されています

代表的な3つのなめし方

代表的ななめしの方法は「植物タンニンなめし」「クロムなめし」「混合なめし」の3つです。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

【植物タンニンなめし】ヌメ革はこちら

ミモザやケブラチヨ、チェスナットといった植物のエキスに含まれる「タンニン」を使ってなめしていく方法です。

ミモザは南アフリカ、ケブラチヨは南米、チェスナットはヨーロッパ産のものを主に使います。

1種類の植物のエキスだけを使用することもあれば、混ぜ合わせて使うこともあります。

【タンニンとは】
ポリフェノールの一種で、ワインや紅茶などに含まれています。
私たちが日常生活で自然と摂取している成分で、渋みを感じるのはこのタンニンによるものです。

タンニンが動物の皮にあるタンパク質とくっつくことで、腐らないようにしてくれる作用があります。

革せんせい
革せんせい

工程に手間と時間がかかるため、現在ではこの方法でなめしている業者は少なくなってきています。

仕上がる革は比較的硬めで、伸びにくくて耐久性が高いのが特徴です。

そのためカバンやパスケース、靴底といった使用頻度の高い製品に使われます。

ちなみに革製品の中でもよく見る「ヌメ革」というのは、このタンニンなめしをしただけ(その後に何も加工されていない)の革のことを指しているんですよ。

【クロムなめし】殆どの革製品がコレ

クロムなめしは「塩基性硫酸クロム塩」という金属の化学薬品を使ってなめす方法です。

タンニンなめしよりもコストがかからなく、色を染めやすいなどのメリットも多いため、販売されている多くの革製品がこの方法でなめされたものです。

金属を使用して作られた革となります。
金属アレルギーを持つ人は反応が起きる可能性があるので注意して下さい。

仕上がる革は柔らかくて弾力があり、よく伸びて強いのが特徴です。

軽くて耐熱性もあるため、家具や洋服など幅広い用途に使われていますよ。

【混合なめし】タンニンとクロムの両方

タンニンなめしとクロムなめしの両方を取り入れたなめし方法です。

革せんせい
革せんせい

やり方は、タンニンとクロムのなめしを順番に行います。

出来上がる革は、タンニンなめしでできるような風合いと、クロムなめしの持つ強度を併せ持つという良いとこ取り。

でも風合い・強度ともにそれぞれのなめし方だけで作られた革以上にはならないため、“平均的に使いやすい質の革”とイメージするとわかりやすいですね。

野球のグローブや手袋、靴に使われています。

他にも洗車用の布やカメラレンズ拭きなどで使われる「セーム革」もこのなめし方で作られていますよ。

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なめし方で出来上がる革の特徴が違う

なめし方によって、出来上がる革も違ってきます。

どのように違うのか、特徴について詳しくお話ししていきますね。

変化が楽しめるタンニンなめし

経年変化が見られるのが、タンニンなめしを施された革の大きな特徴です。

大気中の空気に触れているだけでも、少しずつ色が変化していきます。

そして使うほどに柔らかくなって、色が深まりツヤが増すので、変化を楽しみたい人はタンニンなめしの革製品を迷わず選びましょう。

しかし変化しやすいということは、外からの刺激にも反応しやすいということです。

水気に弱いのと、乾燥もしやすいのでお手入れを忘れないようにしましょう。

革せんせい
革せんせい

傷がつきやすいのですが、傷もまた“革の味”ですよ。

手入れ簡単で使いやすいクロムなめし

経年変化はほとんどないので、革の変化を楽しむことはできません。

しかし最初から革が柔らかくて、しかも軽くて薄いので、時間をかけて使い込まなくても手触りの良い革が楽しめます。

そして、お手入れをあまりしなくても劣化に影響しにくいというメリットも。

クロムなめしの革は、ソファなど大型の家具にもよく使われています。

まちだ
まる子

革面積が広いとお手入れも大変だから、クロムなめしの革が使われているのも納得!

平均的で実用性に優れた混合なめし

今まで説明してきたタンニンなめしとクロムなめしの、それぞれの特徴が当てはまるのが混合なめしです。

つまり、混合なめしの革は経年変化で味わいも出てくるし、柔らかさや軽さ、そして薄さや強さもあるオールマイティな性質を持っているということ。

各性質が平均的に良いという訳なので、がっつり革の変化を楽しむとか、本当にしなやかで柔らかい革を味わいたいという場合は混合なめしは向きません。

まちだ
まる子

でも最初からある程度柔らかくて、使っている間の変化も楽しめるという点では、実用的な革よね。

日本のなめし職人は評価が高い

革を良い具合になめすには、高い技術が必要となります。

なめす技術を持っている職人さんのことを「タンナー」と呼び、世界中でも日本のタンナーは高く評価されているんですよ。

その理由は

  • なめしに良い水を使っている
  • タンナーのなめし剤の調合が繊細で、良い風合いが出せる

からなんです。

なめしには大量の水を使うため、綺麗でなめし剤と相性の良い水が使えることが重要。

日本の水は海外のものよりも、なめしに向いていると言われているんです。

革せんせい
革せんせい

特に兵庫県は水の良さで有名で、タンナーが多く集まる場所なんですよ。

また、なめしの仕上がり状態はなめし剤の調合によっても変わってきます。

日本のタンナーは研究熱心で、なめし剤の調合についても日々努力を重ねています。

まちだ
まる子

より良い品質の革を作り出すために、進歩し続けているのね。
素晴らしい!

これらのことから日本のタンナーは評価が高く、そのタンナーから作られた革も人気があるんです。

まとめ

革が作られていく過程の中の、なめしについて紹介しました。

なめしの3つの方法によって、出来上がってくる革の特徴も違いましたね。

革の変化を味わいたいならば「タンニンなめし」の革、お手入れ簡単で軽くて柔らかな革が欲しければ「クロムなめし」の革を選びましょう。

経年変化を楽しみにクロムなめしの革製品をせっせと使っていても、変化が少ないので注意して下さい。

実用性の高い混合なめしの革製品は洗車やレンズ拭きなど、実はあなたも使ったことがあるかも知れませんね。

日本でなめされた革は上質なので、海外に行っても自慢できちゃいます。

革製品を選ぶ際には日本のタンナーが関わったものなのかも気にしてみて下さい。

質の高い革製品に出会える確率がグッと上がりますよ♪

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