革製品を使うことの楽しみの1つに、エイジングというものがあります。
エイジングとは、経年変化のこと。
革は使い続けるうちにどんどん変わっていくものなんです。
その変化とは一体どんなものなのか、詳しく説明していきます。
後半ではできるだけ綺麗に、短期間でエイジングが楽しめる方法も教えちゃいますよ!
革のエイジングが楽しめる種類を選ぼう
まず最初に、エイジングする革としない革があることをお話ししておきます。
革は加工によっては、変化しにくいように作られているものもあるので注意して下さい。
エイジングするのは「植物タンニンなめし(タンニンなめし)」で「染料仕上げ」をされた革なんです。
革の名称としては主に、以下のものが当てはまります。
- ヌメ革
- シュリンクレザー
- オイルレザー
- ブライドルレザー
- コードバン
特にヌメ革はエイジングがわかりやすいため、変化を楽しみたい人から人気があります。
カラフルな色合いに仕上げられた革製品は「顔料仕上げ」という加工法のものが多く、それらはあまりエイジングしません。
顔料仕上げでも革が柔らかくなって馴染んでくるという変化はありますので、決して使い心地が悪いという訳ではありませんよ。
でもエイジングを目的とするなら、植物タンニンなめしで染料仕上げの革を選びましょう。
エイジングでどんなふうに変化するか
それではエイジングすると、革にどんな変化があるのかをご紹介。
6つの項目で、詳しく説明していきますね。
柔らかくなってスリムに
まずは変化として最も感じやすい部分、柔らかくなるという点です。
革は元が動物の皮なので、「線維(せんい)」から出来ています。
だから、使ったりして刺激を与えられると線維に変化が起こり、ぎゅっと凝縮するんですよ。
凝縮するとしなやかさが出て、それで柔らかくなったと感じられます。
そして、かさも減ってちょっとだけスリムになります。
ゴワッとした感じが無くなって手に収まりが良くなったなぁと思ったら、エイジングしてきた証拠ですよ。
表面がなめらかで粗が目立たなくなる
次は、表面がだんだんなめらかになってくるという点。
先ほど、革は線維から出来ていると説明しましたね。
だから革の表面にも線維による凸凹があるんです。
この表面の線維が使っていくうちに寝てくので、表面がなめらかになっていきます。
手に持った時、引っかかる感触が少なくなってくるのがわかる人もいるかも知れません。
新品の状態では目立っている傷や毛穴も、使い続けるうちになだらかになって目立ちにくくなりますよ。
ツヤが出てくる
革のエイジングでは、ツヤも増してきます。
使っているうちに手の油分が革に移っていったり、クリームでお手入れをしたりすることでツヤツヤになってくるんですよ。
これは革の表面が油分でコーティングされることにより、光沢感がアップするから。
また、もともとオイルを多く含む「オイルレザー」や「ブライドルレザー」、「コードバン」は使い続けるうちに革から自然とオイルがにじみ出てきます。
このオイルが表面を覆うことで、ツヤ感のある革になっていくというわけなんです。
色が濃くなる
革の色も濃く変化していきますよ。
色が濃くなるのは、革が作られる過程で行った「植物タンニンなめし」が関係しています。
この時に使われた「タンニン」という成分が、『紫外線や空気によって酸化して色が濃くなる』という性質を持っているんです。
だから革を外に持ち出したり長い間使っていると、だんだん色が濃くなるというわけ。
ちなみにタンニンは、渋み成分として紅茶などにも含まれています。
少しだけ重たくなる
実は、革の重さも変化するんです。
何気なく使っていると、ちょっとぐらい重さが変化してもわからないかも知れません。
でも、革って油分や水分を含んでいるので、それらの潤い度によって数グラム重さが変わるんです(変化の度合は革の面積にもよります)。
クリームや手の脂が多く革に入れば、重くなります。
また、革が湿度の高い状態であっても、重くなります。
逆に、乾燥が進んで油分や水分が抜けてきている革は、軽くなりますよ。
革の体調で重さが変化するなんて、面白い。
傷=「思い出」が刻まれていく
最後に、革についていく傷のお話しです。
革は使ううちにかすり傷がついたり、うっかり爪でひっかいたりして痕がつくもの。
傷がついた瞬間は「私の大事な革が!」とガッカリすることもありますが、それも後から思えば良い思い出になっているはずです。
私の革のカバンには子供が面白がって爪をたてた痕がありますが、今となっては可愛い子供の思い出と共に蘇ります。
当時は激怒しかけましたがね(苦笑)
さて、こんなに色々と革が変化するなんて知ったら、自分の革製品もエイジングさせてみたいと思いますよね。
次はエイジングさせる方法を、具体的にご紹介していきますよ。
早くエイジングさせる方法
早くエイジングさせるには、なんといっても毎日使うようにして、その革に触れることです!
持ち出す機会がなければ、自宅で手で撫でても良いですし、柔らかい布があれば乾拭きをしてあげるのも効果があります。
なぜ手で触ることが良いのかというと、手の脂が革に浸透していってエイジングを促進するからです。
だから良く持つ場所などは特に早くエイジングしていく傾向があります。
偏りを少なくするためには、乾拭きで全体を触るようにしましょう。
あまりやりすぎると色が黒ずんだり、革の質が落ちたりして汚らしいエイジングになります。
クリームでのお手入れのタイミングは、革が乾燥してきたなと思えたらで大丈夫です。
また外出する際には、革小物はカバンに入れるのがおすすめです。
しかもメインの収納部ではなく、小さめなポケットや仕切られた小物用の空間に入れましょう。
その狭い空間が綿100%でできていれば、もう完璧。
なぜなら、持ち歩いている間に振動で表面が軽く擦れて、乾拭きしていることになるからです!
ポケットや仕切りの無いカバンの場合は、綿のハンカチにくるんだり、巾着など入れたりすると良いですよ。
メインの収納部に裸で入れておくよりは、他の物とぶつかり合って傷つくのも防げますしね。
では最後に、こんな環境や使い方には気を付けて欲しいということをお話しします。
避けて欲しい環境とよくやる行動
革製品を扱う際に避けてほしい環境は、以下のようなものです。
- 長時間の紫外線が当たる場所
⇒日焼けして乾燥する - 真夏の車内など高温になる場所
⇒変形の原因になる - ジメジメした湿度の高い場所
⇒カビが生えやすい - パンツのポケット
⇒汗が染み込んで変色する
革も人間と同じで日焼けをしますが、長時間の日焼け後は特に乾燥が進んでしまいます。
長時間強い紫外線を浴びせる環境には置かないようにすることと、もし強く日焼けしたと思ったらクリームなどのお手入れをしましょう。
もし表と裏(身体側)の色の差が気になるようであれば、時々面を反対にして持つのがおすすめですよ。
それと日常生活でついやってしまう行動で辞めたいのが、パンツのポケットに入れること。
ポケットは蒸れて汗をかいた状態になることが多いため、あなたがかいた汗が知らないうちに革に染み込んでしまいます。
その結果、汗が染み込んだ部分だけ変色して革がまだら模様になってしまうことも・・・。
いつもお尻のポケットにキーケースや革財布を入れているあなたは、次回からはカバンなどに入れるようにして下さいね。
まとめ
革のエイジングについて、エイジングが楽しめる革の種類や具体的な変化をご紹介しました。
早くエイジングしていっても、カビが生えるとか部分的に変色するとかで汚い状態になってしまっては元も子もありません。
良い環境で、綺麗にエイジングさせるようにして下さいね。
革の扱いで注意したい環境は、人間でも不快だと思う状況ですよね。
だから、革製品もあなたと同じように快適な状態で使ってあげることを心がければ難しいことはありませんよ。
エイジングは1日や2日で結果が出る物ではないので、焦らずに愛情を込めて革を使っていって下さいね。
しっとりツヤツヤで色濃くなった革にうっとりする日を夢見て・・・♪